1998年に上映された『劇場版 ポケモン』シリーズ初作品にして最高の興行収入を叩き出したシリーズの原点にして最高峰作品『劇場版 ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』をフル3DCGでリメイクされた作品『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のレビューです。
作品データ
公開日:7月12日
製作国:日本
配給:東方
上映時間:
主演:松本梨香
監督:湯山邦彦、榊原幹典
公式サイト:https://www.pokemon-movie.jp/
おすすめ度
★★★★★★★★★☆(9/10)
感動再び。
では詳しく見ていきましょう。
あらすじ
「清らかな心と、会いたいと強く願う気持ち」その二つを持つ冒険者の前にだけ姿を現すという伝説のポケモン・ミュウ。全てのポケモンの”はじまり”と言われ、世界中のポケモン研究者が行方を追うなか、ついに一人の科学者がミュウの化石を発見し、それを元に神をも恐れぬ禁断の行為に手を染めてしまう。
公式サイトより
「ここはどこだ…。わたしは誰だ…。」
最強のポケモンをつくりたいという人間のエゴによって、この世に生み落とされた伝説のポケモン。その名もミュウツー。存在する理由もわからないまま、最強の兵器としての実験を繰り返されるミュウツーは、その心の中に、自分を生み出した人間に対する憎悪の念を宿していく。
「これは、わたしを生み出した人類への、逆襲だ!」
感想(ネタバレ)
フル3DCGアニメーション
私は本作が日本で作られたフル3DCGで作られたアニメーション映画2作目だったんですが多少の違和感を感じましたが正直ありだなって感じました。
私が邦画で初めてフル3DCGを見たのは今年の初めに公開された『あした世界が終わるとしても』という作品だったんですがこの時もまあまあありだなとは感じていたんですがジャンルが恋愛系だったこともあり日本のアニメ特有の繊細な表情を表現するのはまだまだ手書きの作画ほどではないなって思わされました。
しかし本作はジャンル的にはアドベンチャーでもともと子供向けの作品だったこともあり繊細な顔の表情なども必要ないためフル3DCGがしっくりきました。(まあ私としては作画で描かれた『ポケモン』に慣れてしまっていたんで多少の違和感は感じましたが)
”サトシ”たち人間の動きはゲームみたいなわざとらしいジェスチャーなんかもあって微妙だったんですが”ピカチュウ”たちポケモンの表現は素晴らしいものでした。
ポケモンたちに丸みがしっかりあり立体感を感じましたしポケモンバトルのときなんかもするする動きますし、技を繰り出した時の迫力もすごく、特に”ミュウ”と”ミュウツー”の戦いの時は見ものです。
欲を言うとミュウとミュウツーの戦いの時に同時に行われていたオリジナルとクローンのポケモンたちのバトルをもっと激しいものにしてほしかったんですが私自身本作はいつもの「子供が喜ぶポケモン」ではなく「倫理的なメッセージ性のある作品」だと思っているのでそこは我慢します。
本作と同日に公開された『トイ・ストーリー4』を制作しているピクサーなんかと比べたらまだまだな感じはしましたがフル3DCGは現在アニメ業界が抱えている問題である低賃金やアニメーター不足などを解決してくれる一つの手段だと思うので、どんどんこういった作品を作っていって時間と経験とともに進化していったら良いなと思っております。
8月にもフル3DCGで作られた人気ゲーム「ドラクエ」の映画化作品『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』も公開されるので今後の日本のフル3DCGアニメ映画の動向を楽しみにしていきたいと思います。
クローンをテーマにした大人も楽しめる作品
先程も少し言及しましたが本作は「倫理」をテーマにした作品です。
「命をつくり出せるのは神か人間だけだ」と考える傲慢な科学者によって最強のポケモン”ミュウ“の化石の一部からクローンとしてミュウ以上の強さを持つポケモンとして生み出された”ミュウツー“ですが自分の親も生まれてきた理由もわからないまま人間によって兵器として利用され言うなれば同じ種族であるポケモンへの攻撃を強いられます。
そうする中で人間への憎悪が生まれてきて人間への逆襲を企てます。
自分を生んだ機械で様々なポケモンのクローンをつくり、ポケモンを傷つける人間中心の世界ではなく”ミュウツー”を中心としたポケモンによる世界のつくろうとします。
そんなミュウツーの企みを阻止しようとするサイトたちポケモントレーナーやそのポケモン達。
そこでミュウとミュウツーなどのオリジナルとクローンによる悲しい戦いが始まります。
お互い全く同じ生物のオリジナルとクローンに上下があるわけがなく勝負はつかず、ただ単にお互いがお互いを傷つけ合うだけの状況が続きます。
そして徐々にポケモンたちもオリジナルであろうがクローンであろうがどちらも生きているということや争いは悲しみしか生まないということに気が付き戦いを止め、物語は終わります。
本作ではこうしたストーリーを通じて「クローンの危険性」や「争いの悲しさ」なんかを感じさせられました。
人間の傲慢さによりクローンを生み出したとしても生み出された側は本当の親と言える人もおらず、もし自分と同じ顔をしたオリジナルと遭遇でもしたら恐怖すら感じるでしょう。
クローンを作り出した側は満足かもしれませんが作り出された側のこともしっかり考えるべきだということを思いました。
さらにお互いがお互いを嫌い合い、傷つけあっても悲しみしか生まれないということも本作で改めて思わされました
世界に目を向けてみると未だ同じ宗教だったり同じ国籍を持つ人間同士が戦い合っているおり、そういったものがいかに悲しいものなのかを教えられました。
本作ではこうしたクローンの危険性や争いが無くなって欲しいといったメッセージ性を感じさせられるもので子供にはもちろん『ポケモン』ということで敬遠している大人の方にも見ていただきたい作品です。
最後の「風といっしょに」がこれまたずるい
本作のリメイク前のオリジナル作品である『劇場版 ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』でも主題歌だった小林幸子の「風といっしょに」が本作でも主題歌としてエンディングで流れます。
本編の感動的なラストからこの曲が始まるんですが歌詞の良さと小林幸子の声の良さ相まってさらに良いものとなり、そこからさらにサビの部分で子どもたちの声も加わり感動はクライマックスに達します。
私は運が良かったことに試写会で本作を鑑賞することが出来たので無料で本作を鑑賞したんですが本編が終わった後に小林幸子がサプライズで登場し生で「風といっしょに」を聞くことが出来ました。
それにとても感動して鑑賞後何度もこの曲を聞いています。
劇場に足を運んで聞いてほしい曲ではありますが劇場に行けない方はYouTubeですでに本作で流れる曲がアップされているのでぜひ聞いていただきたいです。
また既に本作を観た方もこの曲を聞いたら本作の感動を思い出せるでしょうし、これから観るという方もこの曲だけで感動できると思うのでぜひ聞いていただきたいです。
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