毎年ヒット作を世に送り出し劇場版『名探偵コナン』。去年の『名探偵コナン ゼロの執行人』では興行収入90億円超えを叩き出したコナンシリーズの待望の新劇場版作品。
劇場版名探偵コナンの過去作をまとめたブログも書きましたので合わせてお読みください。
作品データ
公開日:4月12日
製作国:日本
配給:東方
上映時間:110分
主演:江戸川コナン→高山みなみ
監督:長岡智佳
公式サイト:https://www.conan-movie.jp/
おすすめ度
★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
TOHOシネマズ新宿にて4月12日0時からの最速上映会を女9割以上の比率の中、男一人でアウェイ感を感じながら観てきました。
では詳しく見ていきましょう。
あらすじ
シンガポールで行われる空手の大会を観戦するために蘭と園子は現地を訪れていた。パスポートのないコナンは日本で留守番のはずだったが怪盗キッドのある目的のために彼によってシンガポールに連れてこられてしまう。彼の目的とはシンガポール近海に沈んでいたというブルーサファイア”紺青の拳”を盗み出すということ。しかしそんなキッドの前に立ちはだかるのは最強の空手家京極真。キッドの運命は。。
感想(ネタバレ)
迷走する劇場版コナン
劇場版『名探偵コナン』シリーズは18作目の『異次元の狙撃手』からは40億を超え、さらに毎年興行収入は右肩上がりで20作目の『純黒の悪夢』では60億を超えるという日本の映画業界の中でもヒット作と言える領域まで達し、更に昨年の『ゼロの執行人』では90億を超えるという記録的な大ヒットとなりました。
7作目の『迷宮の十字路』までは内容的に面白い作品が多かった劇場版『名探偵コナン』シリーズですが8作目の『銀翼の奇術師』以降迷走を続けることになります。
内容が面白くなく、それに伴い興行収入も高くありませんでした。
そんな迷走を断ち切ったのが17作目の『異次元の狙撃手』でした。
『異次元の狙撃手』は名探偵コナンの人気キャラクターで死んでいるはずだと思われていた赤井秀一が原作とほぼ同じタイミングで実は生きていたと発覚する作品で上映当時話題を呼びました。
そのおかげか正直内容的には面白いとは言えない作品でしたが興行収入が40億を超えるヒット作となり、そしてその翌作『業火の向日葵』では同じく人気キャラクターの怪盗キッドを準主役に添えた作品で『異次元の狙撃手』を超えるヒットを生み出します。
前々年に赤井秀一を出しておけば女性ファンが集まると味をしめた劇場版制作スタッフはその次の年の『純黒の悪夢』にまたも赤井秀一を起用しさらに黒の組織を加えた豪華メンバーが登場する映画となり興行収入も前作を遥かに超える60億超えを達成しました。
さらに次の年の『から紅の恋歌』ではまたも人気キャラクターの服部平次を準主役に添えた作品ととなりこちらも前年の作品を超える大ヒットとなります。
そして去年の『ゼロの執行人』となります。『純黒の悪夢』で安室透の人気が明らかとなり制作スタッフも彼を準主役とした作品を満を持して製作し上映します。
公開当初から圧倒的な人気を誇り、更に安室ファンである”安室の女”たちの影響もあって興行収入は90億超えという記録を叩き出し一躍『ゼロの執行人』は有名となりました。『ゼロの執行人』の二週間後に上映開始され全世界で圧倒的な人気を誇っていた『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも週末動員数1位を譲らないほどのヒットでした。
そして本作では新たに人気キャラクターを作り上げようとします。
『純黒の悪夢』の時に赤井秀一と安室透を共演させ安室透の人気を見出したときのように新たな人気キャラクターを発掘すべく人気キャラクターの怪盗キッドとイケメンキャラクターである京極真を共演させます。
『名探偵コナン』という人気漫画であからさまに女性ファンを狙った戦略にイチ映画ファンとしては憤りを感じます。
私は本作を”TOHOシネマズ新宿”の最速上映で鑑賞したのですが鑑賞して改めて実感したことがあります。
それはほとんどの人が映画の内容を楽しみに来ているのではなくて自分の好きなキャラクターを観に来ているということです。
それを一番実感したシーンが劇場版名探偵コナン恒例のエンドクレジット後に翌年の劇場版の小さな予告のときです。
本作のエンドクレジット後には赤井秀一が登場し、来年の準主役として再び赤井秀一となることが分かり、会場内の女性ファンはまるで好きなアイドルのライブでそのアイドルが登場したときかのような「キャー」という歓声を上げていました。
上映前から比率的に女性の数が圧倒的で驚かされましたが、この瞬間やっぱりこの人達はキャラクターを観に来ているんだな感じました。
こういう腐女子人気に狙った作風になってきてるから最近のコナンの映画はつまらなくなってきているんだろうな~って勝手に感じてます。。
回っている準主役たち
そして何よりも気に入らないのが人気キャラクターの赤井秀一、怪盗キッド、服部平次、安室透をサイクル的に使いまわしているということ。
18作目の『異次元の狙撃手』から準主役を並べてみるとこうなります。
赤井秀一→怪盗キッド→赤井秀一&安室透→服部平次→安室透→怪盗キッド&京極真→赤井秀一
こんな感じに人気キャラクターーを毎年使い回すかのように入れ替えており、来年は赤井秀一が準主役になることが明らかになりました。
このサイクルを見ると再来年はまた服部平次の作品が来るのではないでしょうか。
いつまで彼らを使って興行収入を高めていくんですかね。
去年あれだけ興行収入を得た『ゼロの執行人』がなぜ興行収入で足元にも及ばなかった『未来のミライ』ごときに日本アカデミー賞で負けたのか考えて学ぼうとしないんですかね。
まあ賞レースが全てだとは言いませんし日本アカデミー賞なんて忖度だらけのものどうでもいいんですけども。。
かわいそうな長岡智佳さん
長岡智佳さんとは本作の監督を務めた方なんですがこの人が本当に可愛そうだと思うんですね。
何故かと言うとこの人は本作が監督初挑戦にもかかわらず人気アニメのコナンの劇場版で初の監督をつとめることができたのはかなり嬉しいことではあったと思うんですが昨年の『ゼロの執行人』まで興行収入が右肩上りとなっているおり、さらに前作では90億を超えるという大ヒットとなったためこの今までの流れを断ち切ってはいけないというプレッシャーは絶対にあったと思うんです。
そしてお偉いさんからは京極真を目立たせた作品にするように言われていたのでしょう。そのせいで自分の表現したいことをすべてできなかったんじゃないかなって思います。
おそらく『ゼロの執行人』が公開する前から長岡智佳さんは本作の監督になることを引き受けていたと思うんですが『ゼロの執行人』の想像以上の大ヒットから彼女には本作制作においてかなりの重圧があったのは間違いなく、彼女に同情する気持ちでいっぱいです。
京極さんの謎のオーラ
劇場版コナンの定番となっているアクションシーンですが殆どがカーチェイスや銃撃戦、といった物が多かったのですが本作は最強の空手家京極真が出演するというだけあってコナンの映画にしては珍しく蘭姉ちゃん以外での肉弾戦のアクションシーンが多かったです。
その点では今までの作品と差別化されていて面白いなと思ったんですが京極さんが強すぎて違う意味で笑いました。
最後のアクションシーンで京極さんが園子を守るためにシンガポール最強の空手家と戦うんですがその時に謎のオーラを身にまといパワーアップしてそいつをワンパンで吹っ飛ばすですね。
このシーンを観た時に思わず声に出して笑ってしまいました。京極さんのパワーカンストしてます。
アクションシーンはもっと迫力のあるものを期待していたんですがね。本来もっとかっこよくできたようなところが一瞬で終わってしまいましたよ。
園子が可愛かった
ここまでディスってばかりでしたけど本作にも良いところはありました。
それは園子が可愛いということ。
上映中の園子の行動には苛立ちを覚えるシーンが結構ありましたしたが最後の園子を観てその感情がどうでも良くなりました。
とりあえず可愛かった。
園子は普段カチューシャしていますよね。
しかし本作の最後でカチューシャも包帯も巻いていない髪を完全に下ろしている園子が登場します。
それがとにかく可愛かった。とにかく本作を鑑賞した方には共感してもらえると思うし、まだ観てない方には最後の園子に注目してほしいです。
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