半世界 レビュー

★★★★★★★☆☆☆

2019年2月15日(金)公開

アラフォー。それは人生を諦めるには早すぎて、焦るには遅すぎる年代である。そんなアラフォーの男同士の友情と壊れかけの家族の様子を様々な賞を獲得してきた阪本順治がオリジナル脚本で描き下ろした。主演は稲垣吾郎が務める。

公開日前日14日の舞台挨拶中継を観てきましたので早速レビューしていきたいと思います。

結論から言いますと「オレもあんないい奥さんがほしい」です。では詳しく見ていきましょう

あらすじ

山中の炭焼き窯で備長炭を製炭することを生業とする高村紘は妻の初乃と息子の明とともに暮らしていた。そんなある日、自衛隊として海外派遣されていた紘の旧友である沖山瑛介が急に帰ってきた。同じく同級生の岩井光彦にも声をかけ、十数年ぶりに酒を呑み交わす。

翌日、誰も住んでおらず、ボロボロになっていた瑛介の実家を掃除し、住めるようにする三人。しかし、その時も何やら様子のおかしい瑛介。紘と光彦は自衛隊の時になにかあったのではないだろうか感じるが直接聞くことができなかった。

紘の息子、明はどうやら学校でいじめられているようであったが紘はそのことに関心を示さなかったがそのことを光彦に指摘されハッとする。

数日後、紘は家にずっとこもっていた瑛介に製炭の仕事を手伝うように言い、彼とともに仕事をするようなる。製炭を手伝い、製炭の大変さを感じた瑛介は「こんなこと、一人でやってきたのか」と驚嘆する。

徐々に仕事に張り合いを感じ始めてきた紘。そんな父を見る明も徐々に変わりがじめ、すべてが良くなり始めているように見えてきたが。。

感想

地方で生まれ、地方で育ち、そのまま地方で就職し、世間しか知らない紘(稲垣吾郎)と、生まれ、育ったのは紘と同じ地方だが高校卒業を機に自衛隊になり、海外派遣により海外に行き世界を知った瑛介(長谷川博己)の対比を表したのではないだろうかと思った作品でした。

グローバル化と言われる現代に、ずっと同じ場所に住み続けることは地方特有の人間関係の暖かさみたいなものが生まれる。そうして世間を知っていくことになる。しかし仕事は代々受け継いできた伝統的なものであるので時代の流れでその仕事の成果が出しづらくなってきている。

他方、グローバル化されている現代では海外に行くことも簡単になりいろいろな人と関わることができるようになり、行動の幅も広がり世界を知ることができるようになった。しかしそこでの生活は今までの自分がしてきたものとは違いカルチャーショックを受けることになる。その例として今でも貧しい国なんかに行くと子供が拳銃を持たされ多くの人が死んでいる。子供が戦わされるというのが当たり前な文化がまだある国があるのだ。そ牛田違いにカルチャーショックを受けるのだ。

半世界という映画はこのように世間は知っているが世界を知らない絋と世界を知る瑛介を対比し、世界を知らないがために苦労する男と世界を知ってしまったが故に苦労する男を描いた映画だと感じた。こうした捉え方はひとりひとり違うと思うので読者の方で違う捉え方をした方がいたらどうぞ教えてください。

私がこの「半世界」という作品で最も好きだったのは池脇千鶴演じる絋の妻、初乃の存在です。彼女は絋の妻として彼の仕事をなにも言わず手伝っている。特に感動したシーンは絋が取引先と問題を起こし、取引を打ち切られた相手に対して謝罪しに行くシーンです。初乃は行くはずであった同窓会に行かず、謝罪しに行き、夫の作った炭がどれだけ良いものかを独特な表現で語り、その取引先と新たに契約を持ち帰ってきた場面では本当に良い奥さんだなと思いました。 さらに親としては絋が気にかけない明に対してしっかりと向き合っている。中学でいじめにあっている明に対して反抗期のため反発されながらも熱心に語りかけ、甘やかさずに育てる。絋が相手にしない分、明に対してものすごくひたむきに向き合っている良いお母さんでもある。 様々な点で頼りない夫の絋に代わって家族の大黒柱としてしっかりと家族を支える、素晴らしい女性でした。この初乃という女性をなんの違和感もなく演じた池脇千鶴も相当な実力のある女優だなと思いました。

あと他にはリアリティーを感じさせてくれるような場面が良かったです。瑛介がチンピラみたいなやつらと喧嘩をして絋が止めようとするシーン。よく映画とかで観るシーンでは喧嘩は体を張って止めに行くっていう、できそうでそう簡単にできないことをやって止めに行きますよね。しかし、絋はそうゆう身を投げ出して止めるということはなく言葉だけで止めようとする。こんな感じに映画の中のワンシーンではなく、我々の住む現実でのワンシーンを表現しているのはリアリティーがあって良かったです。

絋を演じた稲垣吾郎も良かったですね。ジャニーズのメンバーは役を演じるとき独特の派手さみたいのが出てるんですけど、今回の高村絋というキャラクターにはそんなものは絶対に合わない。しかし、稲垣吾郎は製炭で体に染み付いた灰の匂いすら感じさせるようなおちついた演技で違和感なく絋を演じたため驚かされした。

他方、気になる点もありました。 それが絋の息子の明の同級生たち。子供たちにどうこう言うのは大人気ないと思うかもしれませんが演技が下手すぎる。彼らのシーンは明の成長なんかも示すために必要だったのかもしれなかったのかもしれませんが、映画の価値を下げてしまったなと感じてしまいました。

もう一つは雨のシーン。激しい雨が降っているんですが太陽が出ているような明るさがある。これはこういう演出にあえてしているのかもしれませんが何のためにこうしたのか私には分かりませんでしたので理解できた方がいましたら是非教えてください。

おすすめ度

★★★★★★★☆☆☆(7/10)

キャスト

高村紘:稲垣吾郎

沖山瑛介:長谷川博己  岩井光彦:渋川清彦

高村初乃:池脇千鶴

岩井麻里:竹内都子  高村明:杉田雷麟

大谷吉晴:小野武彦  岩井為夫:石橋蓮司

スタッフ

脚本•監督:阪本順治

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